「水環境研究会」活動への期待
副会長 武部 茂
最近の気候変動に伴う豪雨や地震による大規模災害発生により財産そして尊い命が奪われ、更に、ここ2年にわたる新型コロナ感染拡大が、働き方及び生活様式まで一変させる猛威となって人間社会を襲ってきました。このような自然の脅威及び災害から、人々の「安心・安全な生活」「命」を守るための新たな生活様式(ニューノーマル)が求められる新たな時代へ入ってきたのではと、思っています。
このような社会背景の中、今盛んに新聞、TV等「SGDs(持続可能な社会の実現を目標)」(国連サミットで採択、2030年までの国際目標(17項目))が報道され、自治体及び企業もこの主旨に基づくビジョンを作成しています。この項目中6番目の「安全な水とトイレを世界中に」は、当協会が特に注目すべき項目であり、この目標の意図するところは、「安心・安全な生活」及び「人の命」を守るというところにあると、思っています。
現在、日本の水道普及率は98%超えていますが、水道法適用外の小規模水道にあっては、老朽化・水質・施設維持管理の適正化等、多様な問題が顕在化しており、学識経験者等による調査研究もなされておりますが、当研究会にあっては、水道困窮地区と直接かかわりを持ちながら多様な水道(準水道)を提案をすると共に、多種多様な環境下での殺菌消毒及び安全な水の供給など平常時同様な「安心・安全な生活環境」を守るための対応・啓発活動に期待したいと思います。
水環境研究会の役割
事務局 梅垣 亨
私たちの目指す水環境とは、常に安全、安心な水を受容でき、その状態が維持された環境のことです。そして、その環境の構築とそれを維持するための活動を行うことが私たちの使命と考え、そのための様々な活動を行っております。
活動内容は、水に関する技術研究と、その供給体制の維持に資するための水道行政への提言活動に分けられます。
(技術研究)
・水源や河川の水質保全に関する研究
・安全で安心して飲むことのできる水を作るための浄水技術に関する研究
・感染症対策として滅菌技術に関する研究
・その他、水に関連する技術全般
(維持)
・水道事業体への浄水技術等の紹介
・老朽化の進む水道施設の建替え、改修、修繕に係る検討
・過疎地域への水道供給維持対策の紹介
・水道事業継続のためにPPP/PFI導入の提言
我が国の水道事業は、水道普及率100%を目指した施設の拡張整備を終えて、これからはその施設の維持及び老朽化による更新を行わなければならない時代を迎えております。しかし、人口減少傾向にあるため料金収入の減少や管理人員の確保不足など、様々な問題に直面しております。
これらの問題には、各分野の知識と経験に基づく知見を有機的に結合させて連携して対処しなければならないと考えております。私たち水環境研究会はそのお手伝いをさせていただき、この活動を通じて新しい時代の水環境創造の役割を果たして参ります。
PPP/PFIとは
・PPP:Public Private Partnership
行政と民間が連携して「公共サービスの提供等」を効率的かつ効果的に行うための手法
・PFI:Private Finance Initiative
公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に民間の資金やノウハウを活用し、効率的・効果的に公共サービスを提供するための手法我が国においては、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)が制定され、仙台市の水道事業等、一部自治体では導入されております。